最近、子どもが大人になった時の社会はどうなっているのかと親子で話すことがよくあります。そして、先日、たまたま見かけたYouTubeの動画に愕然としました!
タイトルは、「時給50ドルの衝撃 賃上げのワケ」
こちらの動画ご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
動画の内容
2021年9月頃、ニューヨークでの最低賃金15ドル(約1,700円)。この時点で高いなぁと感じますが、さらにチップ込みだと3,000円近くになることもあるそうで、日本と比べてかなり賃金が高いのだそうです。
しかし、コロナから経済回復に向かう中で人手不足が深刻となり、ここからさらに人件費を上げる動きが加速していると。
東京とニューヨークどれくらい違う?
このニュースに衝撃を受け、親子で話し合う材料として、「給与」と「かけそばの値段」について調べてみることにしました。
まずは、ニューヨークの給与水準に対し、現在の東京の給与がどうなっているかといいますと、
<飲食業のウェイトレス給与比較> 1ドル=113円で計算
東京 | ニューヨーク | ニューヨーク(チップ込み) | |
1時間 | 9.2ドル 1,042円 | 15ドル 1,700円 | 26ドル 3,000円 |
10時間働いたら? | 92ドル 10,420円 | 150ドル 17,000円 | 260ドル 29,380円 |
※東京のウェイトレス給与については、下記を参照しました。
東京とニューヨーク、1時間働いた時の差は、
チップなしで、約658円
チップありで、約1,958円
1時間あたりでもかなり差があることがわかります。
10時間働いた時の差を見ると、
チップなしで、約6,580円
チップありで、約18,960円
と、10時間働いた場合(チップありの賃金と比較)は、約2万円近くの差になりました。
当然、月に10時間程度しか働かないということはないと思うので、さらに働いた時間が増えて、月収に変わったときにはより大きな差を生みます。
子どもと見てみる
今の現実を知ってもらおうと、子どもにこの表を見せたところ、とても驚いていました。
子どもは実際に働いていないため、「時給」とか「月収」という響きが現実味はないかもしれませんが、「こんなに差があるんだ!」という漠然としたものを感じ取ったように思います。
ニュースでは、「アメリカでは20年以上物価と人件費を上げながら経済成長を果たしてきた。」とのこと、「実質賃金指数の推移の国際比較」でもアメリカと日本での開きは非常に大きいものとなっています。
グラフを見ると、日本の場合は、むしろ給与が増えず、実質賃金がむしろ下がっているのがわかります。政治として賃上げを進める動きはありますが、まだまだ形に見えてないのが実情のようです。
では、ものの値段は?
次に、「かけそば」の値段です。
NYで蕎麦屋などのニューヨークレストラン経営している八木英次(八木秀峰ボン)氏のインタビューがありました。
八木氏は、波崎、酒蔵、しゃぶ辰、茶庵、蕎麦屋、咖喱屋、来々軒、などなど様々な日本食レストランを海外で経営されているいて、上記のインタビューにて、賃金や料理の値段について語られています。
従業員の確保に苦労し、皿洗いが15ドル(約1700円)でも見つからない。
企業で引き抜きをするため、人件費を17.8ドル(約2000円)にしたり、板前さんの賃金を2000円から2500円にアップしたり。さらに、40時間超えると時給が1.5倍になるため、(高い人では)40ドル~50ドル(約5500円)の時給になる。
そして、その「蕎麦屋」さんで出される「かけそば」は、人件費、仕入れ値の高騰により、「1杯14ドル(約1600円)。チップ入れて約1900円」。
先程、ご紹介した他のお店のメニューもぜひご覧ください。お料理の値段が日本とどれだけ違うかが実感できるかと思います。
これはニューヨークでは一般的な価格なのだそうです。日本の「そば」の値段を見てみますと、最も安い都市は宇都宮市の483円、最も高い都市は757円。(以下をご参照ください。)
日本のそばを値段を下記のWEBサイトより参照しました。47都市の中で日本そば(外食)の値段が最も安い都市のランキング第1位は483円[単位:1枚]の宇都宮市、次いで503円の長崎市、506円の大分市の順です。
同様に、日本そば(外食)の値段が最も高い都市は757円の長野市。最も高い長野市と最も安い宇都宮市との価格差は274円となっています。
ニューヨークのかけそばは、チップを入れていっぱい約1,900円。最も高いとされている長野県の757円と比較しても、ニューヨークとでは1,143円の開きがあります。
終わりに
八木氏は、安い日本との違いについて、
「ニューヨーカーは良い物には価値をつけて値段を出してくれる。そのため、賃金や仕入れ値も上がり、メニューの価格が上がっても、ちゃんとお客さんがわかってくれる。そして、ビジネスは人で成り立っている。”Happy worker is a good worker. ”幸せを感じている従業員はちゃんと良く働くし、伸びる。従業員が幸せにならなければ、お客さんが満足しない。」
と答えていました。
子どもには、「企業が持っているお金の見直しによって、働いている人一人一人のお給料が上がっていったら良いね。」とか、「従業員もお客さんもどちらもHappyになるためにはどうしたら良いのだろうね。」など色々話し合うきっかけになりました。
もしご興味がありましたら、ぜひご家庭で「お子さんが住んでいる日本の未来」について、一緒に話し合ってもらえたらいいなと思います。